京都へ出発

研究・教育へのコンピュータ利用のあり方と可能性を考えるPCカンファレンスが今日から京都の立命館大学で開催中です。ちゃっかり僕も参加していますので、面白そうな研究を見つけたら紹介してみたいと思います。とりあえずホテルがとても豪華なことにびっくりです。


まず今日のポスターセッションから。

プログラミングスタイルを指導するための演習システム

大学の授業では基本的にはプログラミング言語の文法を教えるだけにとどまり、プログラミングスタイルをとやかく言うことはありません。しかし、実際にプログラムを書く際には特定のスタイルに沿って書いていった方が可読性を良くすることができますし、つまらないバグを減らすことができます。


この大学では提出されたコードを分析するシステムを導入し、コードがきちんと動くかだけではなく「インデントがきちんとできているか」「マジックナンバーを使っていないか」も合否判定に利用して受講者の意識向上に役立てようとしているようでした。


プログラミングスタイルについての授業というのは聞いたことが無いので面白い試みではあると思いますが、システムで強制的にスタイルを守らせるというのは果たして本質的な解決につながるのかという点で疑問に感じました。説明を聞いただけだと、授業の中で決められたスタイルを守れていないものは受理されないからインデントに気をつけなければいけないんだ、というすりこみを学生に行うようなイメージを受けました。たとえこの方法でインデントがしっかりできるようになっても、その後「他人が見てわかりやすいコード」を書くことにはつながらないと思うのです。


今後の展望としては「理解しやすいコメントの付け方」などを挙げていましたが(コンピュータに意味解析をさせることの難しさを除いたとしても)「他人が見て読みやすいか」という問題は非常に個々人の主観によるため、システム化の難しいところだと思います。そのためシステムとして利用する前に「見やすいコードを書く意義」について教える側がまず本当に理解することと、それを授業でわかりやすく伝えることができるのかに力を入れるべきであると思います。


まぁ、共同でプログラムを書いている人なんかからすればプログラミングスタイルについてまったく気にしない人というのは困った問題になると思うのですが、結局そういうのは単純にプログラミングスタイルについて知ってる知らないのレベルではなく人付き合いの仕方とかそういうレベルの話になっていくと思うんですよね。

eラーニングによる多肢選択問題に置ける理解度測定方法に関する研究

これは面白かったですね。eラーニングシステムにおける受講者の理解度確認のための研究です。選択式の問題を解いてもらう場合(オンラインにしろオフラインにしろ)、単純に解答結果だけを見ると正解か不正解かしか知ることができないので受講者の正確な理解度を知ることができません。


そこで、この研究では選択式の問題を回答するまでの「マウスの動き」や「経過時間」を調べて、自信があるかないか、どの問題で悩んだかといったことを実験していました。実験結果を見ると当然かもしれませんが、自信を持って回答している人とそうでない人でかなり明確な差が出ているので、これは面白いと思いました。


今回の発表は実験結果としてこうなっているというもので、このデータからどのように自信があるかないかを調べたり、どの項目で悩んだのかを調べる方法については今後の展望になるそうです。データをぱっと見た限りではできちゃいそうな気がするのでなんだか楽しみです。


ぶっちゃけ回答中のマウスの動きとかは簡単に図れそうな気がしますが、もしかしたらこれってこうなのかも?っていう些細なことに本格的に取り組んで実験結果としてまとめるのってやっぱり意義深いんですね。

サポートベクターマシンによるe-Learningの適正コンテンツの決定

e-Learningには結構興味があるので他にもいろいろ見てみました。自分の研究にも関係ありそうなところで、SVMを使ったe-Learningによる配信コンテンツの決定という研究です。SVMというのは分類や判別に用いるための手法で(よくは知りませんが)、簡単に言えばいくつかの質問に答えた受講者が何に興味を持っているかということを判別するものです。


説明してくれた人はこれを選択していたら次はこの問題、正解していたら次はこの問題、間違っていたら次はこの問題と単純にパターン化していくのが今のe-Learningシステムのやり方だとおっしゃっていました。確かにこれではすべてのパターンについて網羅したテーブルを用意しておかなければならないので、配信側には恐ろしい手間がかかります。


SVMはあらかじめ用意しておいた複数のテストデータ(こうこうこう答えたらAと判定する)と受講者の回答データを照合計算して、どのデータ・分類に近いかを判定します。この分類を自動判別させることで、配信側の苦労を減らしましょうという研究です。


ぶっちゃけSVMの理論をあまり知らないのでもう少し勉強しようと思いました。
あと、e-Learningシステムも使ったことが無いので・・・ねぇ。
パソコン講座で導入してみたいなぁ。