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ニコニコを黒字化するためにP2Pを使えばいいという幻想

ニコニコ動画を黒字化する50の方法 - 論理的なアイディアはまだかい?

ニコニコの赤字が続いているというニュースが火種になって、「どうやったらニコニコを黒字化できるか」という話題がはてなで微妙に盛り上がってるけど、そこでちらほら見かけるのが「早くP2Pにしろよ」というコメント。

Winny・Share・BitTorrentPeerCastといったツールからP2P技術は「僕らの強い味方」みたいな思い込みが根底にあるのかもしれないけど、すぐに得られるメリットはスケーラビリティ(拡張容易性)ぐらいなもんで必ずしもP2Pにすれば解決することじゃない。

ネットワーク系の学会とか研究会だとP2P関連はいつでも人がたくさんいて研究が盛り上がっているけど、研究ってのは解決されてない問題が多いところに人が集まるわけで、これってつまり今の段階ではP2Pは使えない(枯れてない)技術という風にもとれる。まぁ、P2Pに対する期待があるのも事実だろうけどね。

既存のクライアントサーバ方式に比べたときの一番の問題はQoS(サービス品質)の管理で、特にライブストリーミングについてはユーザの間でもすでにPeerCastでその難しさがよく分かっていると思う。
PeerCast - Wikipedia

QoSが低下する理由は様々あって、P2P方式ではストリーミングのデータをユーザからユーザへバケツリレー方式で渡していくわけだけど

  1. 接続先のユーザの帯域を安定して使える保証はない
  2. 接続先のユーザがいつ切断するかわからない
  3. ユーザを経由することによって遅延が大きくなる

といった問題がある。BitTorrentのようにほけーっと待ってる間にファイルをダウンロードするような場合は影響は少ないが、リアルタイムのライブストリーミングとなるとその影響は目に見えて表れる。もともとインターネット上の通信は予測不可能な上に、サービス提供を担うユーザが入ったり出たりといったことが頻繁に発生するP2Pのオーバーレイネットワークをかぶせることで、どれだけサービスの管理が難しくなるかわかるだろう。

ちなみに、生放送のライブストリーミング(Live Streaming)に対して動画をファイルとして保存してそれを配信する方式をストアドストリーミング(Stored Streaming)と言ったりするけど、ストアドストリーミングにすればファイル共有系と同様にP2P方式の問題はある程度改善される。が、今度は著作権周りの問題が顕在化してくるのでやはり企業としてはやりづらいだろう。


そんなわけで、例えばニコニコを安直にP2P方式にしたとすると確実にQoSは低下する。それをユーザが許容してもニコニコを黒字化することを望むというのならば、今の時点ですべての動画のビットレートを10分の1にして回線容量を減らしてあげればいいだけの話だ。