はやぶさおかえりなさい

昨日は合間合間に奈々さんを見つつ、ずっと張り付いて中継とにらめっこしてましたが、すごい盛り上がりでしたね。和歌山大チームのust映像はまったく見れず、BIGLOBEmeshCast*1を使った管制室中継もニコ生のミラーでなんとか見れる状況、1万人以上の枠があったであろう公式ニコ生ですら開場から30分間入れなかったという混雑っぷりでした。


さすがにあれだけ混み合ってくると、テレビ放映してもらって落ち着いて見たかったですね。ネットメディアの良いところは世間がワールドカップに注目しているときに、裏でこういった一部の人たち*2が盛り上がれるネタを提供できるフットワークの軽さですが、一方で大多数に同報配信する仕組みとしてはテレビの方が圧倒的に有利です。ネットとテレビの融合というのはまさにこういう場面で実現できたらなと思うわけです。


と、理屈で言えばこんな感じですが、昨日の感情に憎悪を込めて直球ではき出すと下のようなつぶやきになると思います。(よくわからない思想が入ってる人もいるみたいですが)テレビできれいな映像で見たかったんだね、って思えばこういったつぶやきも共感できます。
Togetter - まとめ「なぜマスゴミは「はやぶさ」の快挙を伝えないの?ネット民大勝利!!みたいなの」


正直、こっちのまとめの方が相当ひねくれているように感じます。まっとうなこと言ってる方もいるので、十把一絡げに言ってしまうわけにはいかないのですが、盛り上がること自体を否定するために言葉を並べているようなつぶやきが散見されます。
Togetter - まとめ「なぜマスゴミは「はやぶさ」の快挙を伝えないの?的な意見へのカウンター」


確かに、7年前、いやもっとそれ以上前からはやぶさに注目していた人にとっては、ここにきてはやぶさにこれだけの注目が集まって「何で今さら」「お前らはやぶさのこと何も知らないくせに」といった感情を抱くかもしれません。オタクにありがち、と言えばありがちな気もしますが、おそらく誰もが少なからず感じることだと思いますし、そういった感情を否定する気はありません。
ただ、そうでない人たちからそんな台詞は聞きたくありません。ノーベル賞発表の様子を思い出してもらえれば分かるとおり、偉業がその成果を上げる前から着目できる人なんてごくごくわずかなのです。僕たち一般人はその成果がわかりやすい形になって初めて「盛り上がる」ことができるのです。


とはいえ、みんながみんなはやぶさの帰りを待ちわびていたわけもなく、はやぶさに関心が無い人がいたって何ら不思議ではありません。ですが、せっかく興味を持った人に対して「お前らは擬人化されたはやぶさたん見て喜んでるだけだろ、バカじゃねーの」みたいな批難はして欲しくないのです。*3

twitterにも書きましたが、なにかに関心を持つということはそれ自体が一つの可能性であって、その可能性がどう広がっていくかは誰にもわかりません。はやぶさの擬人化やニコ動に上がった動画、pixivのイラストがきっかけで宇宙開発の最先端に携わる可能性だってあるのです。きっかけが気に入らなかったり悪い可能性があったとしても、初めから芽を潰すことはないでしょう。


何よりこれだけの人の注目を集めた背景には、はやぶさ計画の科学技術的な成果だけではなく、はやぶさ運用のドラマ性、スタッフのはやぶさへの情熱と愛を随所から感じることができた点もあげられると思います。はやぶさに関心を持っている人の大部分が技術的な背景を何も知らないかもしれません。しかし、はやぶさ計画の「本質」から遠いところにいたとしても、共感して涙することはできたし、ただの機械に対して心からのおかえりなさいで迎えることだってできたのです。はやぶさ計画というのはそこまで含めての偉業である、と僕はそう思うのです。


おまけ

読んでいてわかると思いますが、僕もニコ動の「こんなこともあろうかと」ではやぶさを知った口で、スイングバイとかイオンエンジンとか知らない用語だらけでした。数々の二次創作製作者さんにも感謝。当人達はどう感じるかは人それぞれだと思いますが、いろんな形で盛り上がることは開発者へのエールにもなると僕は思っています。

おまけ2

うっかりぽちってしまいました。

現代萌衛星図鑑

現代萌衛星図鑑

*1:サーバから配信した動画データを視聴者間でP2Pで補完しあう方式

*2:ニコ生に数万人(総計では20万人ですがユニークユーザはもっと少ないはず)集まったといえども、ワールドカップ視聴者数から言えば微々たる数でしょう

*3:まとめの中にありましたが、逆向きの「お前はなんで感動できないの?」なんてのはもってのほかです