これは良書

先日図書館で借りた本をようやく読み終わった.

ユビキタステクノロジーのすべて―クルマ・ケータイ・IP電話・RFID・Web2.0等を支える

ユビキタステクノロジーのすべて―クルマ・ケータイ・IP電話・RFID・Web2.0等を支える


まえがきより抜粋

ユビキタス」は,現代社会や最先端技術を論じる上で極めて重要な用語となっており,すでに多くの著書が出版されている.しかしながら,「ユビキタス」を「ユビキタス社会」という社会学的視点でとらえた著書や,コンピュータやネットワークの一部のテクノロジーに特化した著書が多く,「ユビキタステクノロジー」を体系的かつ網羅的にとらえた著書は,これまで見当たらなかった.

まさに,まえがきにあるとおり一般的にユビキタスほげほげといわれているもの(社会,技術)がなんなのかを隅から隅まで記述しているからすごい.予想以上のボリュームに驚いたが,自分の研究ともからめて今の現状とどういう未来に進んで行こうとしているのかがよくわかる本.身近なデバイスの話から技術的な話までほどよく織り込まれているので,いろいろな人にお勧めできる.

総務省ではu-japan政策なんてものを出したりしていますが,ユビキタスって一体なんなの?すごそうなことばっか言ってて絵に描いた餅じゃねえの?なんて思っている人はぜひこの本を読んでみると,どんな社会を実現しようとして,どんな技術が開発されているのかがわかるはず.



本の内容で面白かったのはセンサネットワークの章における監視カメラの話.個人情報保護法が成立してささいな個人情報を入力するときでも,その利用目的や使用範囲,管理方法などの個人情報保護ポリシーが提示されるようになったけど,監視カメラには一切そんなことないよね?どんな使われ方しているかわからないのにそれでいいのですかという話.

確かに誰がどこにいて何をしているのかというのはかなり重大なプライバシー情報.街中ではいたるところに監視カメラが設置されているけど,誰が(地方自治体?警察?コンビニ?スーパー?)どのような目的で(防犯?盗撮?)どのような管理体制で(カメラに細工されたりしない?)そのカメラを設置しているかはさっぱりわからない.監視カメラで撮影した映像が何に使われるのかもさっぱりわからない.もしかしたら,ネットに流している人たちもいるかもしれない.

そう考えると結構怖い.
でも,さすがに公共の場所に勝手にカメラをほいほい設置して良いはずはないと思うのだがどうなのだろう?撮影したものを公開すると肖像権が云々という話になりそうだが,その前に不特定多数を撮影する目的でカメラを設置するのは法的に問題にならないのだろうか?