数学者と工学者にとっての数学の違い

数学ガールを読んで疑問に思ったこと.

数学っていう学問の中で使うのは数学なわけで,それはやっぱり「道具」としての数学なはずだ.ある数式を証明するために,自分が身につけているいろんな手法を試してみて,上手いことそれを導いていく.そう,数学ガールの物語の中でやっていたこともまさにその通りだし,台詞の中にも「道具」や「武器」といった単語は何度も出てきた.

んで,そうすると今まで自分が漠然と,しかし当然のように思っていた*1「工学部は数学を"使えればいい"」っていうのは一体どういうことなんだろう.工学の領域でも示したい事実を自分が知っている数学の手法で試してみるというのは同じはずだ.工学部が道具として数学を使うなら,それは数学屋さんが自分の数式を解くために数学を使うのとどう違うというのだろう.

数学屋さんは数学を厳密に扱う?いやいや,工学部だからって物事の本質を曖昧にしたまま使うなんてことはない.表面だけなでてればいいってほど簡単でもない.例えば,大量のデータから知識を発見するデータマイニングという手法を実装したソフトウェアがうちの研究室にもあるが,マニュアルを読んでソフトウェアの使い方を知っただけで効率よくデータマイニングできるようになるわけではない.データマイニングの手法そのものについてよく理解していなければ使いこなせないのだ.

確かに授業でやる数学は証明とかにそれほど力を入れていなかったような感じはするが,TPOに応じて求められる厳密さが変わってくるのは数学屋さんだって同じだろう.

そうすると数学を"使う"立場って一体何なのだろう.公式や定理を生み出すのが数学屋さんでそれを使うという立場だという考え方もあるかもしれないが,工学という領域が公式や定理を生み出さないのかと言えばそんなこともないだろう.


んーさっぱりだ(笑)
今の段階ではどちらも違いがないように思える.今言えるのは誰にとっても数学は数学であってそれ以上でもそれ以下でもないということだけ.我ながらきれいにまとめようとしてるっぽく見えるけど,それが一番正しいあり方なのかもしれない.


あと,「数学」の言葉のイメージが曖昧すぎて議論にならない気がする.んが,「数学」っていう単語をどう定義すればよいだろう?

関連エントリ:数学って科学じゃないの? - tomoemonの日記

*1:学部一年のころに先生からも言われたような気がする